君だけが俺の居場所だった


しばらく他愛もない話をする。

でもどこか落ち着かない。

沈黙が落ちる。

風が吹く。

翡翠の髪が揺れる。

そして翡翠がぽつりと言った。

「神城くん」

「何」

返事をする。

でも翡翠はすぐに続けない。

少しだけ迷っていた。

視線を落とす。

指先を握る。

緊張している事に美都は気付いていた。

だから黙って待った。

「私ね」

小さな声。

風に消えそうな声。

「神城くんの隣が好き」

時間が止まる。

美都の呼吸が止まる。

翡翠は顔を上げない。

怖いから。

でもちゃんと言う。

「安心するの」

「……」

「一緒にいると」

胸が苦しい。

言葉が出ない。

翡翠は続ける。

震える声で。

「だから」

少しだけ笑う。

泣きそうな顔で。

「ずっと隣にいたい」