君だけが俺の居場所だった


美都は目を逸らす。

覚えていない。

だから余計怖い。

何を言った。

何をやらかした。

数秒後翡翠が小さく笑う。

「どこにも行くな」

美都が固まる。

「……」

「って言ってた」

世界が終わった。

耳まで真っ赤になる。

翡翠は笑っている。

でもからかう笑いじゃない。

嬉しそうな笑顔だった。

「寝ぼけてたね」

美都は顔を覆いたくなる。

消えたい。

本当に消えたい。

その時翡翠が少しだけ身を寄せる。

そして誰にも聞こえない声で言った。

「でも」

美都が顔を上げる。

翡翠は優しく笑った。

「嬉しかった」

心臓が止まりそうになる。

その笑顔が反則なくらい綺麗で美都は初めて自分から告白する日が近いことを悟った。