君だけが俺の居場所だった


帰り道。

空を見上げる。

灰色だった。

厚い雲。

今にも降りそうな空。

翡翠も空を見る。

「雨かな」

その言葉に。

美都の肩が僅かに強張る。

自分でも気付かないくらい。

ほんの少しだけ。

胸がざわついた。

翡翠は気付かなかった。

でも。

美都は気付いていた。

雨が嫌いだ。

昔から。

理由は分かっている。

分かっているからこそ。

考えないようにしていた。

それでも。

空が曇るだけで。

少しだけ呼吸が浅くなる。