その夜台風は予報通りだった。
窓を叩く雨音。
唸るような風。
家全体が揺れている気がする。
美都はベッドの上にいた。
電気は消えている。
でも眠れなかった。
目を閉じる。
すると嫌な記憶が浮かぶ。
雨の日の暗い部屋で一人泣いていた自分。
大丈夫。
今は違う。
そう言い聞かせる。
でも胸のざわつきは消えなかった。
スマホを見ると23時48分。
遅い時間だし連絡なんて迷惑だ。
そう思う。
でも画面を閉じてもまた開いてしまう。
トーク画面の一番上翡翠。
送るか。
やめるか。
迷う。
何度も何度も。
でも今夜は少しだけ無理だった。
震える指で文字を打つ。
『起きてるか』
送信。
心臓がうるさい。



