「ちゃんといるよ」 翡翠の手が頭を撫でる。 優しい手だった。 昔なら。 誰かに触られるのは嫌だった。 鬱陶しかった。 なのに。 今は違う。 不思議なくらい落ち着く。 胸の苦しさも。 震えも。 少しずつ消えていく。 美都は俯いたまま動けなかった。 「少し落ち着いた?」 翡翠が聞く。 美都は小さく頷く。 その時だった。 翡翠のスマホが震える。 「ん?」 画面を見る。 そして少し笑った。 それだけ。 本当にそれだけだった。 なのに。 美都の胸がざわつく。