「……いた」 小さな声だった。 翡翠は固まる。 美都は俯いたまま。 震える手で翡翠の服を掴んだ。 「神城くん……」 翡翠の胸が痛む。 ほんの数分だった。 トイレに行っていただけ。 なのに。 この子は。 こんな顔をする。 翡翠は何も言わず。 そっと美都の頭を撫でた。 「ごめんね」 優しく。 本当に優しく。 「ちゃんといるよ」 その言葉を聞いた瞬間。 美都は目を閉じた。 まるで。 それだけで生き返ったみたいに。