数分後。
美都が目を覚ます。
ぼんやりした視界。
リビング。
テレビ。
ソファ。
そして。
隣を見る。
誰もいない。
「……?」
一瞬。
思考が止まる。
どこだ。
翡翠は。
胸の奥がざわつく。
急激に。
嫌な感覚が広がっていく。
立ち上がる。
リビングを見る。
いない。
キッチン。
いない。
胸が苦しい。
呼吸が浅くなる。
そんなはずない。
さっきまでいた。
いたはずなのに。
頭の中で嫌な記憶が暴れ始める。
父親。
母親。
閉まるドア。
置いていかれる感覚。
「……翡翠」
掠れた声。
返事はない。



