君だけが俺の居場所だった


昇降口で靴を履き替える。

周りには生徒がいる。

普通なら絶対離す。

でも今日は離さない。

翡翠も美都もどちらも何も言わない。

まるで最初からそうだったみたいに自然だった。

「ひすい?」

後ろから女子の声。

二人同時に振り返る。

クラスメイトだった。

そして繋がれた手を見る。

固まり数秒後にやっと笑った。

嫌な予感しかしない。

「なにしてるの?」

翡翠が固まる。

美都も固まる。

「えっと……」

説明できない。

雨の日だから半分こだから。

余計説明できない。

女子は完全に勘違いしていた。

「ふーん」

楽しそうだった。

「付き合った?」

沈黙。

世界が止まる。

翡翠の顔が真っ赤になる。

美都も固まる。

心臓がうるさい。

付き合った。

その言葉が頭の中を回る。

「ち、違う!」

翡翠が慌てる。

でも声が裏返っていた。

説得力はゼロだった。