リビングが静かになる。
誰も喋れない。
心臓の音だけがうるさかった。
その時二階から緋色の笑い声が聞こえた。
現実に引き戻される。
「……」
「……」
二人同時に視線を逸らす。
限界だった。
この空気心臓に悪すぎる。
翡翠は慌てて立ち上がる。
「お、お茶入れてくる!」
逃げた完全に。
誰もいないキッチンで翡翠はシンクに手をつく。
顔が熱い。
特別。
神城くんが言った言葉。
何度も頭の中で繰り返される。
特別だから。
特別。
「……もう」
反則だった。
そんな顔で言われたら意識しない方が無理だった。



