やがて。
日付が変わる頃。
翡翠は限界だった。
「ごめん」
ふらふらしながら立ち上がる。
「寝るね」
そう言って歩き出す。
その瞬間。
美都の胸がざわつく。
行くな。
離れるな。
頭の中で声が響く。
自分でも怖かった。
こんな感情。
今まで知らない。
「神城くん?」
翡翠が振り返る。
美都は俯く。
言うな。
言うな。
そう思うのに。
口が勝手に動いた。
「……一人で寝るのか」
翡翠が目を丸くする。
美都自身も固まった。
違う。
聞きたかったのはそんなことじゃない。
でも。
もう遅かった。
部屋には。
気まずい沈黙だけが落ちていた。



