「言ってない!」
翡翠が即答する。
珍しく本気だった。
顔も真っ赤で耳まで赤い。
緋色はきょとんとしている。
「なんで?」
「なんでも!」
完全に慌てている翡翠を美都は黙って見ている。
でも頭の中はその一言でいっぱいだった。
――ずっと神城さんの話してた。
「何話してた」
ぽつり思わず聞いていた。
翡翠が固まる。
「え」
「何話してた」
もう一度翡翠は視線を逸らした。
「別に……」
分かりやすい。
絶対に何かある。
「姉ちゃんね!」
緋色が元気よく手を挙げる。
最悪だった。
「最近神城さん眠れてるかなーとか」
「緋色!」
「ちゃんとご飯食べてるかなーとか」
「緋色ってば!」
「神城さん元気ないと心配なんだよねーって」
翡翠がソファに顔を埋める。
終わった。
完全に終わった。
恥ずかしすぎた。



