沈黙。 雨音だけが響く。 やがて。 美都が小さく口を開いた。 「……一人が」 翡翠が息を呑む。 「怖い」 震える声だった。 誰にも言ったことがない。 認めたこともない。 でも。 もう隠せなかった。 「家にいると」 声が掠れる。 「思い出す」 父親。 母親。 閉まるドア。 置いていかれた日。 全部。