その頃。 廊下では。 翡翠がふと振り返っていた。 今。 誰かいた気がした。 そんな気がした。 でも。 そこには誰もいない。 「橘?」 男子が呼ぶ。 翡翠は我に返った。 それでも。 胸の奥のざわつきだけは消えなかった。 まるで。 誰かが泣いているような。 そんな嫌な予感がしていた。