君だけが俺の居場所だった


気付けばスマホを握っていた。

翡翠の名前。

通話ボタン。

押すつもりなんてなかった。

なのに。

画面には発信中の文字。

一回。

二回。

三回。

出ない。

胸が締め付けられる。

やっぱり。

また。

置いていかれる。

頭の中で嫌な記憶が暴れ出す。

四回目で。

通話が繋がった。

『……もしもし?』

眠そうな声だった。

翡翠だった。

生きている。

ちゃんといる。

それだけで。

全身の力が抜けそうになる。

『神城くん?』

心配そうな声。

『どうしたの?』

美都は答えられない。

声が出ない。

言えるわけがない。

怖くなったから電話したなんて。