その時だった。
「……何騒いでる」
美都が目を覚ます。
掠れた声。
いつもの不機嫌そうな顔。
でもその姿を見た瞬間翡翠の胸がまた少しだけ跳ねた。
理由は分からない。
でも一つだけ分かった。
美都は自分にとってもうただの友達じゃなかった。
朝食の時間緋色はいつも通り騒がしい。
「姉ちゃん卵焼き!」
「自分で取って」
「神城さん取って!」
「断る」
いつものやり取り。
いつもの朝。
でも翡翠だけは少し違った。
さっき緋色に言われた言葉。
好きなんじゃない?
それが頭から離れない。
違う。
そう思う。
でも完全には否定できない。
神城くんが苦しそうだと気になる。
元気がないと心配になる。
見えなくなると探してしまう。
昨日だって崩れ落ちた姿を見た瞬間本当に怖かった。
胸が締め付けられた。
「……」
考えれば考えるほど分からなくなる。



