君だけが俺の居場所だった


六月最後の週。

朝から強い雨が降っていた。

窓ガラスを叩く雨音。

空は暗い。

教室の中までどこか重たい空気だった。

翡翠は教室へ入るなり違和感を覚えた。

美都だった。

席には座っている。

いつも通り無表情。

でも。

顔色が悪い。

誰が見ても分かるくらい。

「神城くん今日やばくない?」

女子が小声で言う。

「確かに顔白い」

でも。

美都は何事もないように教科書を開いていた。

一時間目。

先生に指名される。

美都は立ち上がる。

問題を解く。

完璧だった。

答えも合っている。

声も落ち着いている。

いつも通り。

だけど。

席へ戻る時だけ。

少しふらついた。

ほんの一瞬。

誰も気付かなかった。

翡翠以外は。