君だけが俺の居場所だった


「もう大丈夫」

「大丈夫じゃない」

「歩ける」

「さっき倒れそうだった」

「倒れてない」

「倒れそうだった」

同じやり取りを三回くらい繰り返していた。

私は少し笑う。

「神城くんって負けず嫌い?」

「別に」

「またそれ」

「別に」

「それしか言えないの?」

「別に」

私が吹き出したら美都は不機嫌そうな顔をする。

「笑うな」

「ごめん」

全然悪いと思っていない顔だった。

しばらく歩くとやがて一軒のマンションの前で美都が立ち止まった。

「ここ」

思ったより普通だった。

勝手に大きな家を想像していた。

「送った」

「そうだな」

「じゃあ帰るね」

そう言った時だった。

美都の身体がふらついて壁に手をつく。

私は目を見開いた。

「神城くん!」

「……平気」

平気な人の顔じゃなかった。