「よかった」
翡翠が小さく笑う。
その笑顔を見ると胸が苦しい。
最近ずっとそうだ。
見れば見るほど好きだと思う。
でも言えない。
絶対に今はまだ。
その時翡翠が立ち上がる。
「飲み物取ってくる」
キッチンへ向かう。
姿が見えなくなる。
ほんの数秒それだけなのに無意識に視線で追ってしまう。
自分でも呆れる。
もう重症だった。
戻ってきた翡翠が笑う。
「何?」
「別に」
即答だった。
でも完全にバレていた。
「今探したでしょ」
「探してない」
「探した」
「探してない」
翡翠は吹き出す。
その笑い声に胸が温かくなる。
夜も遅くなり。
それぞれ寝る準備を始める。
翡翠は立ち上がった。
「おやすみ」
いつもの言葉。
でも美都の心臓が跳ねる。
離れる。
今日もほんの少しだけ寂しいと思ってしまった。



