君だけが俺の居場所だった


夕飯の時間三人で食卓を囲む。

いつも通り緋色はよく喋る。

翡翠は笑う。

美都は聞いている。

それだけなのに落ち着く。

家族みたいだ。

そんな考えが浮かぶ。

そしてその瞬間胸が少し痛んだ。

自分にはなかったものだから。

食後緋色は風呂へ行った。

リビングには二人だけ。

静かだった。

翡翠はマグカップを両手で持つ。

美都はソファに座る。

沈黙。

でも嫌じゃない。

その時翡翠がぽつりと言った。

「今日は」

少し迷う。

そして笑った。

「泊まっていく?」

優しい声だった。

美都は顔を上げる。

翡翠は真っ直ぐ見ていた。

同情じゃない。

無理に気を遣っているわけでもない。

ただ一人にしたくなかった。

それだけだった。

「……」

美都は言葉に詰まる。

嬉しくて苦しかった。