昼休み。
美都はいつもより早く踊り場へ向かった。
約束なんて。
本当は信じていなかった。
いや。
信じたかった。
だからこそ怖かった。
もし来なかったら。
また。
そう考えてしまう。
踊り場へ着く。
誰もいない。
胸が冷える。
その時。
階段を駆け上がる音がした。
「ごめん!」
翡翠だった。
少し息を切らしている。
「先生に捕まった!」
そう言って笑う。
美都は何も言わない。
ただ。
ずっと張り詰めていたものがほどける。
翡翠は気付かない。
でも。
少しだけ目を細めた。
「待ってた?」
「別に」
即答。
だけど。
今日は説得力がなかった。



