「……帰らないで」 部屋が静まり返る。 言った本人が一番驚いていた。 美都は俯いたまま固まる。 掴んでいる制服の袖。 離さなければ。 そう思うのに。 指が動かない。 翡翠も動かなかった。 ただ。 目の前の美都を見ている。 今まで見たことのない顔だった。 強がりも。 無表情も。 何もない。 ただ。 必死だった。