君だけが俺の居場所だった


世界が揺れる。

昔を思い出す。

つまり会いたくない。

そういうことだ。

頭の中で言葉が変換される。

雨音。

冷たい空気。

遠ざかる背中。

全部蘇る。

「だから」

母親が何かを言う。

でもそこから先は聞こえなかった。

視界が滲む。

呼吸が浅くなって苦しい。

息が吸えない。

雨音が大きくなる。

身体が震える。

足が動かない。

翡翠が隣で何か叫んでいる。

でももう何も聞こえない。

ただ昔と同じだった。

また置いていかれた。