君だけが俺の居場所だった


「神城くん?」

隣で翡翠が呼ぶ。

聞こえている。

でも返事ができない。

母親もこちらに気付いたらしい。

目が合う。

数秒。

沈黙。

やがて母親の眉が僅かに動いた。

驚いたような。

困ったような。

そんな顔だった。

でも再会を喜ぶ顔じゃなかった。

「……美都?」

久しぶりに聞く声。

胸が痛む。

懐かしいはずなのに。

嬉しくない。

怖い。

ただ怖かった。

「大きくなったのね」

母親が言う。

美都は何も答えない。

答えられない。

今まで何度も想像した。

もし会ったら何を聞こう?何を言おう?

でも現実は何も出てこなかった。