君だけが俺の居場所だった


女性がちょうど振り返り目が合う。

時間が止まる。

雨音が遠くなる。

翡翠が何か言っている。

でも聞こえない。

ただ目の前の女性だけが見えていた。

――母親だった。呼吸が止まる。

足も止まる。

雨音だけが響いている。

目の前の女性は少し大人びて見えた。

髪型も違うし服装も違う。

でも間違えるはずがなかった。

何年経っても忘れられるはずがなかった。

「……」

声が出ない。

身体が動かない。

ただ立ち尽くす。