「全部忘れろ」 部屋の空気が止まる。 翡翠は目を瞬いた。 美都は視線を合わせない。 まるで。 見られてはいけないものを見られたみたいに。 「神城くん」 「忘れろ」 もう一度言う。 声は掠れていた。 翡翠は少しだけ困った顔をした。 「無理だよ」 その返事に。 美都の肩が強張る。