好きなんだと思う。
最近はもう否定できない。
でも認めたくなかった。
好きになったら終わりだ。
そう思う。
だって好きな人ほど失う。
父親も。
母親も。
そうだった。
だからこれ以上近付くな。
心のどこかがそう叫ぶ。
放課後、昇降口で翡翠は友達と話していた。
楽しそうだった。
笑っている。
それを見ると胸が痛む。
取られたくない。
その感情が浮かぶ。
でもその資格なんてない。
付き合ってもいない。
好きだとも言っていない。
だから何も言えない。
「神城くん!」
翡翠が駆け寄ってくる。
友達と別れたらしい。
その笑顔を見ると嬉しいのに苦しい。
「待った?」
「別に」
いつもの返事。
翡翠は笑う。
「嘘」
即答だった。
最近全部見透かされている気がする。



