「上がる?」 気付けばそう聞いていた。 翡翠が少し驚く。 「いいの?」 「別に」 いつもの返事。 翡翠は笑った。 「じゃあ少しだけ」 家へ入る。 リビングへ案内する。 静かな部屋だった。 生活感はある。 でも。 温かさがない。 翡翠は少しだけ胸が痛くなった。 この家で。 神城くんはずっと一人だったんだ。