一時間後。 インターホンが鳴る。 美都は玄関へ向かった。 ドアを開ける。 そこには翡翠が立っていた。 「はい」 忘れた教科書を差し出してくる。 「届けに来たよ」 いつも通りの笑顔だった。 その瞬間。 美都は息を止めた。 家の中に。 翡翠がいる。 ただそれだけなのに。 どうしようもなく安心した。