なのに面白くなかった。 胸の奥がざわつく。 嫌だった。 自分でも驚くほど。 男子は少し話して帰っていく。 翡翠は何も気付いていない。 「優しい子だよね」 その言葉に美都の眉がぴくりと動く。 「そうか」 声が低い。 自分でも分かるくらい不機嫌だった。 「神城くん?」 翡翠が覗き込む。 「何」 「本当にどうしたの?」 心配そうだった。 その顔を見る。 優しい。 誰にでも優しい。 それが急に嫌だった。 「……」 言葉が出ない代わりに一つの感情だけが残る。 あいつに向けるなその笑顔を。