「神城くん」
「何」
「何かあった?」
何度目かの質問。
返ってくる答えはいつも同じだった。
「何もない」
嘘だ。
分かる。
でも。
それ以上聞けない。
家に帰る。
玄関を開ける。
「おかえりー!」
緋色の声。
私は靴を脱ぐ。
そしてぽつりと呟いた。
「どうしよう」
「ん?」
緋色が首を傾げる。
私は少し笑った。
「神城くんが変なの」
その瞬間。
緋色が真顔になった。
「病人?」
「違う」
「じゃあ恋?」
「は?」
思わず変な声が出た。
緋色はうんうん頷く。
「姉ちゃん鈍いからなぁ」
「緋色?」
「神城さん絶対姉ちゃん好きだよ」
私は固まった。
ありえない。
だって神城くんだよ?
あの神城くん。
いつも無表情で。
冷たくて。
人と距離を取る人。



