夜。 眠れない。 時計を見る。 午前一時。 二時。 三時。 目を閉じても。 浮かぶのは翡翠だった。 笑顔。 声。 手を引かれたこと。 迎えに来てくれたこと。 全部。 頭から離れない。 そして。 一番苦しいのは。 もし翡翠が誰かのものになったら。 その全部が自分のものじゃなくなることだった。 気付いてはいけないところまで。 美都の心は少しずつ壊れ始めていた。