その夜窓の外でぽつりと雨が降り始めた。
小さな雨音それを聞いた瞬間美都の指が止まる。
胸の奥がざわつく。
嫌な予感がした。
まるで忘れかけていた傷がまた少しだけ疼き始めるみたいに。
そして無意識に手が伸びる。
スマホ。
トーク画面。
一番上にある名前は当然のように橘翡翠だった。
ぽつり。
ぽつり。
雨音が窓を叩く。
美都はベッドの上に座っていた。
眠れない。
理由は分かっていた。
雨だ。
たったそれだけなのに胸の奥が落ち着かない。
息苦しい。
嫌な記憶が少しずつ浮かんでくる。
考えたくないのに勝手に。



