『ごめんな』 その一言だけ残して。 父親はいなくなった。 雨の音だけが響いていた。 そして数年後。 母親も消えた。 何も言わず。 振り返りもしなかった。 また雨だった。 「……どうせ」 ぽろりと零れる。 自分でも驚くほど小さな声だった。 「どうせいなくなる」 誰に向けた言葉なのか。 自分でも分からなかった。