朝食を作るために並んで立つ。
それだけなのに美都は少し落ち着いていた。
翡翠がいる。
声が聞こえる。
ちゃんといる。
何度も確認してしまう。
まるで消えてしまわないようにそんな自分が怖かった。
でも止められない。
食事のあと翡翠がふと真面目な顔になる。
「神城くん」
「何」
「最近」
そこで言葉を止める。
どう言えばいいか迷っているみたいだった。
そしてゆっくり続ける。
「私が見えなくなると不安になる?」
心臓が止まりそうになった。
返事ができない。
図星だった。
翡翠は責めない。
怒らない。
ただ少しだけ悲しそうだった。
「神城くん」
優しい声。
「一人で抱え込まないで」
その言葉に美都は俯く。
言いたい。
助けてほしい。
でも言葉にならない代わりに震える指がそっと翡翠の袖を掴んだ。
もう離したくなかった。



