「おはよう」
すぐ近くから声がした。
翡翠だった。
まだ隣にいる。
寝ていなかったのか。
目の下には少し隈があった。
「……寝ろよ」
思わず言う。
翡翠は笑った。
「神城くんもね」
言い返せない。
二人とも酷い顔だった。
でも不思議だった。
いつもより少しだけ楽だった。
その時スマホが震える。
翡翠が画面を見る。
『緋色』
「おはよー!」
通話を繋ぐと元気な声が響いた。
『昨日ちゃんと寝れたー?』
翡翠は少し笑う。
「寝れたよ」
そう言いながらちらりと美都を見る。
美都は視線を逸らした。
『神城さんいる?』
「いるよ」
『おはよー!』
電話越しの声。
いつも通りだった。
なのに少しだけ救われる。



