翡翠は迷った。
このまま寝室へ行くべきか少し距離を置くべきか。
そう思った。
でも美都の顔を見ると苦しそうだった。
今にも壊れそうだった。
その顔を見た瞬間答えなんて決まっていた。
そんな顔をしている人を一人にできるわけがない。
翡翠はゆっくり戻ってくる。
美都の前へしゃがむ。
「神城くん」
小さく呼ぶ。
返事はない。
「顔上げて」
しばらくして美都がゆっくり顔を上げた。
目が赤かった。
泣くのを我慢している顔だった。
翡翠の胸が痛くなる。
「今日は」
翡翠が小さく笑う。
「一人にしないよ」
その言うと美都の肩が震える。
翡翠は続けた。
「だから大丈夫」
優しく何度も言い聞かせるみたいに。
「ここにいる」
その言葉を聞いた瞬間美都は目を閉じた。
張り詰めていた糸が切れそうだった。



