「いていいよ」
その言葉が胸の奥に深く沈んだ。
いていい。
たったそれだけなのに涙が出そうになる。
美都は俯いたまま動けなかった。
翡翠は気付いていない。
いや気付かないふりをしてくれているのかもしれない。
その優しさが今は少しだけ苦しかった。
時計は十時を回っていた。
「お風呂どうする?」
翡翠が聞く。
「後で」
「先入って」
「別に」
「入って」
押し切られる。
結局風呂へ向かうことになった。
脱衣所で鏡を見る。
酷い顔だった。
目の下の隈。
痩せた頬。
自分でも分かる。
最近まともじゃない。
でもどうすればいいのか分からなかった。



