君だけが俺の居場所だった


橘家へ向かう帰り道。

傘の中で美都はずっと黙っていた。

でも翡翠の制服の袖だけは離せない。

自分でも気付いていない。

無意識だった。

翡翠が隣を歩く。

その事に少しだけ安心する。

ちゃんといる。

隣にいる。

それを確認するみたいに。

翡翠はちらりと隣を見る。

美都の指は自分の袖を握っている。

離れないように迷子の子供みたいに。

胸がぎゅっと痛くなった。

この子はどれだけ一人だったんだろう。

どれだけ怖かったんだろう。

そう思った瞬間翡翠は決める。

もう少しだけもう少しだけでもこの子のそばにいようと。