君だけが俺の居場所だった


翡翠は黙って聞いていた。

遮らない。

否定しない。

だから美都も止まらなかった。

「最近」

俯いたまま続ける。

「眠れない」

「……うん」

「夢見る」

「うん」

「起きたら誰もいない」

胸が苦しい。

言葉にするたび苦しい。

でも少しだけ楽になる。

翡翠が聞いてくれているから。

「神城くん」

優しい声だった。

「今日はうち来る?」

美都は顔を上げると翡翠は笑っていた。

いつもの笑顔。

でも今日は少し違った。

どこか泣きそうだった。

「緋色も待ってるし」

そう言って笑う。

美都は目を閉じた。

本当は分かっている。

緋色だけじゃないことくらい。