君だけが俺の居場所だった

「神城くん?」

声を掛けても反応がない。

近付くと美都は俯いたままだった。

前髪から雨が落ちている。

「何してるの」

返事はない。

「風邪ひくよ」

その言葉でようやく美都が顔を上げた。

「……何の用」

低い声だった。

傘を少し傾けて美都にも雨が当たらないようにした。

だけど美都はすぐに立ち上がった。

「帰れ」

「嫌」

「なんで」

「放っておけないから」

即答だった。

美都は眉をひそめる。

「放っとけ」

「無理」

「なんでだよ」

「だって風邪ひくじゃん」

美都は呆れたようにため息を吐いた。

話にならない。

そんな顔だった。