翡翠にしがみつく。
強く離れないようにいなくならないように。
翡翠は一瞬驚いた。
でもすぐに腕を回す。
「大丈夫」
優しい声。
「大丈夫だから」
雨が降り続いている。
でも美都は震えが止まらない。
苦しい。
怖い。
置いていかれる。
そんな感情ばかりが溢れる。
翡翠は何も聞かなかった。
何も言わなかった。
ただ雨の中ずっと抱きしめていた。
美都が落ち着くまで何度も背中を撫でながら。
「いるよ」
小さな声だった。
「ちゃんといる」
その言葉を聞くたびに呼吸は少しずつ戻っていく。
そして震える手で翡翠の制服を握りしめながら。
初めて。
本当に初めて美都は誰かの前で泣いた。



