気付けば校舎裏まで来ていた。
壁に背中を預ける。
荒い呼吸。
震える指。
胸を押さえる。
苦しい。
どうしてこんなに。
「……っ」
自分でも分からない。
でも一つだけ分かる。
もし翡翠が誰かを選んだら自分は壊れる。
そんな確信だけがあった。
その頃廊下では翡翠がふと振り返っていた。
今誰かいた気がした。
そんな気がした。
でもそこには誰もいない。
「橘?」
男子が呼ぶ。
翡翠は我に返った。
それでも胸の奥のざわつきだけは消えなかった。
まるで誰かが泣いているようなそんな嫌な予感がしていた。
メニュー