玄関へ入る。 その瞬間。 翡翠が振り返った。 「神城くん」 「何」 「お風呂」 「帰る」 「帰らない」 即答だった。 「入らない」 「入る」 「人の話聞け」 「聞いてる」 聞いた上で却下していた。 緋色も頷く。 「姉ちゃん怒ると怖いよ」 「お前黙ってろ」 「ほら」 翡翠がタオルを押し付けてくる。 「風邪ぶり返したら困る」 真剣な顔だった。 美都はそれ以上言えなくなる。