橘家の前に着く。 雨はまだ降っていた。 翡翠は玄関を開ける。 「ただいまー」 その瞬間。 奥から勢いよく足音が聞こえた。 「姉ちゃーん!」 緋色だった。 満面の笑みで走ってくる。 そして。 翡翠の後ろにいる美都を見つけた。 「あっ!」 目を輝かせる。 「病人のお兄さん!」 「病人じゃない」 即答だった。 「病人だよね?」 緋色が翡翠を見る。 「病人だね」 「お前まで」 二人とも笑った。 美都はため息を吐く。 でも。 少しだけ肩の力が抜けた。