橘家に着くと緋色は先に部屋へ走って行った。
「ゲームしよう!」
そう言いながら。
相変わらず元気だった。
リビングには美都と翡翠だけが残る。
珍しく静かだった。
「神城くん」
翡翠が呼ぶ。
「何」
「最近ちゃんと寝てる?」
またその話だった。
美都は視線を逸らす。
「寝てる」
「嘘」
即答だった。
「なんで分かる」
「分かるよ」
翡翠は少し笑う。
「最近ずっと顔色悪いし」
「……」
「前より笑わないし」
元々笑わない。
そう言おうとしてやめた。
最近の自分がおかしいことくらい。
自分が一番分かっている。
「神城くん」
翡翠の声が少し真面目になる。
「無理してない?」
その言葉に胸が苦しくなった。
無理している。
でも理由は言えない。



