「約束したもんね」
翡翠が言うと美都の肩が僅かに揺れる。
「来るって」
そう言って笑う。
当たり前みたいに。
その瞬間美都は気付く。
約束を守ってもらっただけでこんなに嬉しい。
こんなに安心する。
それが普通じゃないことくらいもう分かっていた。
でも止められない。
翡翠が笑う。
安心する。
翡翠がいない。
苦しい。
その繰り返し。
そして最近は夢だけじゃない。
授業中も帰り道も家にいる時も気付けば翡翠のことを考えている。
自分でも異常だと思う。
「神城くん」
「何」
「今日放課後空いてる?」
翡翠が聞く。
美都は顔を上げた。
「なんで」
「緋色がね」
翡翠は笑う。
「神城さんに会いたいって」
その瞬間少しだけ本当に少しだけ胸の奥が沈んだ。
緋色じゃなくてお前が会いたいんじゃないのか。
そんな考えが浮かんで自分にぞっとした。



