「……なんでいる」 雨に濡れながら。 美都は翡翠を見上げた。 翡翠は少し困ったように笑う。 「ここにいる気がした」 「意味分からない」 「私も」 即答だった。 美都は思わず眉をひそめる。 翡翠は傘を少し傾けた。 「帰ろ」 静かな声だった。 でも。 美都は首を振る。 「帰らない」 「なんで」 「帰る場所じゃない」 ぽつりと零れた言葉だった。