「……分からないだろ」
ぽつりと零れる。
翡翠が首を傾げる。
「何が?」
「明日なんて」
声が震える。
「そんなの分からない」
父親もそうだった。
母親もそうだった。
昨日までいたのに次の日にはいなくなった。
だから信じられない。
信じるのが怖い。
「神城くん」
翡翠は少しだけ考える。
そしてふっと笑った。
「じゃあ約束する」
美都が目を見開く。
「明日」
翡翠は指を一本立てた。
「昼休み」
もう一本。
「いつもの踊り場」
最後に小指を差し出す。
「絶対行く」
子供みたいな約束だった。
でも翡翠は真剣だった。
「だから今日は帰る」
優しい声。
そして。
「待ってて」
その言葉に呼吸が少しだけ落ち着く。



