翡翠はゆっくりしゃがんだ。
美都と目線を合わせるために。
「怖いの?」
小さな声だった。
美都の肩が震える。
答えない。
でもそれが答えだった。
翡翠はそっと息を吐く。
やっぱり何かを抱えている。
ずっとそう思っていた。
でも想像していたよりずっと深かった。
「神城くん」
「……」
「私帰るよ」
その言葉に美都の指に力が入る。
翡翠は気付いた。
帰る。
その言葉だけでこの子はこんな顔をする。
胸が締め付けられた。
「でも」
翡翠が続ける。
「明日も会える」
美都はゆっくり顔を上げる。
「昼休みも」
「……」
「帰り道も」
翡翠は笑う。
「ちゃんといるよ」
その笑顔が眩しかった。



