君だけが俺の居場所だった

部屋が静まり返る。

言った本人が一番驚いていた。

美都は俯いたまま固まる。

掴んでいる制服の袖。

離さなければそう思うのに指が動かない。

翡翠も動かなかった。

ただ目の前の美都を見ている。

今まで見たことのない顔だった。

強がりも無表情も何もない。

ただ必死だった。

「神城くん」

優しい声。

それだけで胸が痛くなる。

美都は顔を上げない。

上げられない。

こんな姿見せたくなかった。

知られたくなかった。

なのに止まらない。

「……忘れろ」

掠れた声。

「無理だよ」

即答だった。

「忘れて」

「無理」

「なんで」

「だって」

翡翠が少し困ったように笑う。

「すごく苦しそうだから」

その言葉に何も言えなくなる。