家の近くまで来る。 雨はまだ降っている。 「送る」 翡翠が言った。 「すぐそこだぞ」 「でも送る」 「なんで」 「心配だから」 またその言葉だった。 何度も聞いたはずなのに。 今日は少し違って聞こえる。 美都は小さく目を伏せた。 そして気付く。 雨の日に会いたいのは。 安心したいのは。 もう。 翡翠だけかもしれないと。