「昔のこと思い出すだけだ」 ぽつりと零れる。 翡翠は黙って聞いていた。 「雨の日に」 そこで言葉が止まる。 父親。 母親。 置いていかれたこと。 全部。 言えなかった。 でも。 翡翠は無理に聞かなかった。 「そっか」 ただそれだけ言った。 その一言に。 少しだけ救われた気がした。